富山県内の温暖化傾向

温暖化に関連している可能性がある事象

地球温暖化の影響は自然環境や生活環境等、様々な分野に現れるといわれており、その調査研究は世界的に行われていますが、 いずれも地球規模の包括的な視点から行われています。この研究では、地球温暖化による富山県の自然環境や生活環境への影響を 地域的・具体的に把握して、様々な分野での対応策・予防策に活かしていただきます。 また、本県の地域特性を踏まえた自然等の変化を分かりやすく示すことにより、県民や事業者のご理解を促すとともに、自主的、積極的な 活動につなげていただきたいと考えています。

以下では、富山県内で見られる変化傾向について、温暖化に関連する可能性があると考えられる注意ものについて、これまで得られた成果を掲載しています。


温暖化関係リンク
季節事象
サクラの開花
真夏日の日数不快指数
カエデの紅葉
降雪日数暖房使用量冬日結氷期間
通年潮位の変化気温偏差
リンク

サクラの開花と満開: 富山地方気象台では、気象台にあるサクラ(ソメイヨシノ)の標本木を気象庁職員が目視で観察しています。開花時期 (5輪程度の花が咲くころ)と満開時期(8―9割程度の花が咲くころ)を観測した記録からは、ここ30年でサクラの時期が 一週間以上も早くなっていることが分かります。 サクラの開花には、冬季にいったん寒くなったあとで(休眠打破と言うそうです。)、春に向けてどれだけ暖かかったか (ある温度以上になった日について、偏差分の積算温度が決まった値を上回ること)が、 大きく影響しているそうです。富山の都市化や観測地点の立地などによる影響も考える必要がありますが、 この傾向は、全国的に(アメリカなどの海外でも)あらわれています。 冬の終わりから春先の温度が高い年には、平年よりも早く開花することになるため、 図は、冬の終わりや春先の気温が高くなってきていることを示唆しています。 逆に九州の方では、厳冬期の温度が下がらないことで休眠打破が遅れ、サクラの開花が遅くなっている地点も出ているようです。
真夏日の日数: 青は富山、赤は他の観測地点(8地点:富山以外{伏木、南砺高宮、砺波、氷見、魚津、上市、泊、八尾})を平均した 各年の真夏日(30度以上になる日)の日数、黄色は富山以外の8地点のバラツキを示します。この図では富山以外のデータが揃う 1979年以降を解析対象としています。 どちらも、真夏日の日数が増加している「可能性が極めて高い」と判断することができます。仮に今後、更に温暖化が進むとすると、 全国の真夏日の年間日数はさらに増加し、数十年後には現在の1.5倍程度の真夏日の日数になるという予測もあるため、熱中症など 健康面への影響も懸念されます。ただし都市化などの影響も含むため、正確な評価には更に長い期間の解析が必要です。               
不快指数: 不快指数とは蒸し暑さを数量的に表した指標で、気温と湿度が高いほど高く、不快指数が75を超えたあたりから不快さを感じるといわれています。 富山市では、夜3時でも不快指数が75を越える日が、この50年で18日も増えており、その他の時間帯でも(朝9時は9日以上、夜9時は7日以上)、 蒸し暑くなっています。また、不快指数が80を超える日も約10日増えています。 富山の湿度は市街地の排水施設の整備などにより若干下がる傾向にあり、不快指数の上昇は、気温の上昇によりもたらされています。 気温の上昇は、都市化のほか、地球温暖化による影響も考えられるため、当所では、今後さらに調査を進めていきます。 不快さを抑える対策としては、グリーンカーテンを設置して昼間の熱射を防ぐ、エアコンの使用を抑えることなどが有効です。 クールビズなどエコでかつ涼しい取り組みを実践しましょう。
カエデの紅葉時期: 富山地方気象台にある標本木を気象庁職員が毎日観察した記録に基づいて作成しています。 ここ30年弱で紅葉の開始は20日程度、落葉は10日程度遅くなっています。 このような遅れは全国的に見られており、異常気象レポート2005(気象庁)によると、 この50年間で開始が15日以上、落葉が9日以上遅くなっています。 秋の夜に冷え込むと樹が冬支度をはじめるため、葉と栄養を交換しなくなり、緑色のクロロフィルも分解されます。 するとその時期に葉に蓄積されていた糖類が昼間の日に当たることで紅色のアントシアンが作られ、紅葉が綺麗に見え始めます。 遅くまで暖かい年は、冬支度がそれだけ遅くなり、鮮やかな発色をしないと言われています。 ただし、夏秋の温度差が大きかったり水分不足などで樹に大きなストレスがかかると、紅葉が早まることもあるようです。
降雪日数: 富山県が取りまとめている資料から県内で30年以上の観測期間がある地点から、冬季に降雪が観測された日数を調査し、降雪日数の変化傾向を求めました。 ここでは、12月から3月の期間で1cm以上の降雪を観測した日の変化傾向を調査しています。2008年の冬季までのデータを利用しています。 また、観測期間に関係なく50年間の変化として表しています。 さらに統計計算から有意性が得られた場所は陰影をつけています。 1970年代以降と1980年代の後半に全国的な気候ジャンプがあったとされます。降雪量や日数の変化にも この影響があると考えられますので、女良、福光など最近しかないデータについては、若干、 過大評価となっている可能性があります。また、有峰についてはどうして増加しているかを究明したいと 考えています。
結氷期間: 富山地方気象台では、その冬で初めに氷が張った日(結氷初日)と春に最後に氷が張った日(結氷終日)についても観測しています。結氷は、水を張った容器を露場に おいておき、朝に氷が張っているかどうかで判断するものです。図のように、年によって異常に早い年や遅い年がありますが、近年は氷が張り始める日が遅くなり、 最後に氷が張る日が早まっています。氷の張る季節がこの70年間で20日以上も短くなっていることがわかります。 また、このような結氷期間の短縮化は、冬日の減少とよく対応しています。
暖房デグリーデー: 富山県内の毎日の平均気温から、暖房使用量の目安の一つとして使われる「暖房デグリーデー」というものを求めました。 ある日の平均気温が14度を下回った時には最低気温はおおよそ10度を下回りますので、屋内でも暖房が必要な家庭が増えます。 また、気温がさらに低ければ、暖房を強くしたり、長い時間使うようになるなど、暖房の使用量が増えていきます。 そこで14度を基準温度として平均気温がそれより下回った分をまいにち積算すると、おおよそある月に使われた暖房の エネルギーを推測できると考えられます。これを「暖房デグリーデー」と言い、多い方がたくさん暖房を使うことになります。図は富山市の過去(寒色系)から現在(暖色系) の旬毎の暖房デグリーデーを折れ線グラフで示しています。過去に比べて最近は暖房を使わなくて良いようになってきた ことが推測できます。
暖房デグリーデー: 富山地方気象台が観測している一冬を通しての最低気温と各日の最低気温が0℃以下になった日数を図に示します。近年の富山市内の都市化や気象台周辺の 環境が変化したことによる影響を考える必要がありますが、近年は年間最低気温が-6℃以上となっており、過去と比較して非常に寒い日が減っていることがわかります。 また、冬日についても、昔は50〜60日程度あったようですが、近年は30日を下回る年が増えていることがわかります。今後の更なる冬季の昇温により、 特に平野部で降雪量への影響が予想されます。
富山湾の海面水位: 富山湾における各年の平均潮位の偏差(赤:cm)とそのバラつき(青)を表しています。使用したデータの殆どは富山地方気象台の堀川氏から提供を 受けました。水位上昇による砂浜の減少傾向の把握には、離岸堤や人工リーフなどの効果を考慮する必要がありますが、環境省の取りまとめ(2001, Bruun則をもちいた三村ら(1994)の結果)によると、30cmの海面上昇により、富山県内の砂浜の約64%が消失すると 推測されています(上述により実際には過大評価の可能性もあります)。 この図に現れている水位の変化には地殻変動等による影響も含まれており、温暖化による影響だけで起こっているとは言えません。ただし、 海水浴だけでなく護岸や防災の観点からも、太平洋の海流の変化、富山周辺の海水温(表面から深層水まで)の変化も含めて、 今後とも富山湾の水位の変化を注意深く見守っていく必要があります。
伏木の気温偏差: 伏木測候所の気温データを利用して、1886年〜1985年の100年について、各月の平年値と標準偏差を計算し、それらを用いて各月の規格化した平年偏差を求めました。 初めの100年間の標準偏差が1σであり各月は-1σ〜+1σの範囲内にあると考えられ、平年値よりも著しく偏差が生じた月は±1σを超えることになります。 図の値は各月の偏差を標準偏差で割ったもので、各月が平年より暖かい年には暖かくなるに従いピンク色(0.5〜1)、オレンジ色(1〜2)、赤色(2以上)と 色が濃くなっています。また、過去の新聞記事等で高温やそれに伴う災害等が起こった月に青丸をつけています。 過去の青丸はオレンジ色のものが多いことと、近年は赤色が全体的に多くなっていることから、最近は異常高温という概念自体が変わってきていると考えられます。 また、春先や秋口に赤色が目立つことから夏季の長期化や冬季の短期化、サクラの開花時期の早期化やカエデの紅葉時期の遅延化などとも関係があると思われます。

今後も、県内の変化傾向について、変化を調査し、随時に結果を掲載していきたいと考えています。

一番上の地球の図の説明:
温室効果ガスの増加により、起こると言われている現象の一部を、図示しています。
地上付近の平均気温や最低・最高気温の上昇、北極やチベットなどの氷の大規模な融解、
海面水温の上昇による大きな台風の発生などが見られるようになると予想されています。
また、口のゆがみは近年の平均気温の上昇傾向を示しています。

----------- ご利用上の注意 -----------
内容に関する質問等は
富山県環境科学センターまでお願いします。
気候には10年スケールなどの変動があり、正しい把握のためには、長い年月にわたり蓄積された「一貫した」データが必要です。
解析には、限られた期間の限られたデータを用いています。ご利用に際しては 結果に不確実性が伴うことを充分にご理解ください。
このページの内容については、更新や変更をする可能性があります。あらかじめご了承ください。

----------- お願い -----------
皆様からの写真や観測データなどの提供についてご協力をよろしくお願いいたします。
昔、皆様が撮影された県内の山などの雪型や雪渓の写真などがねむっていませんか?
同じ季節と場所でも昔と今ではずいぶん様子が変わっているかも知れません。